【Kheer vol.11 2001.10.25発売】

1stミニアルバム『バラードコレクション』に続き、初恋の嵐が待望の新 作『Untitled』をリリース。
「ポスト・サニーデイ最有力候補」なんて陳腐なクリシェを用いるまでもなく、初恋の嵐はやっぱ最高なのです!

●「Untitled」はこのシングルの為に録音したんですか?
西山:そうです。表題曲の「Untitled」が出来たことが今回シングルを作りたいと思った動機になったんです。フルアルバムの先行シングルというわけ でもなく、「よし、次はシングルを作ろう」ということになって録りました。
●前作の『バラードコレクション』はフォーキーな雰囲気を持った作品だったのに比べて、『Untitled』はロックバンドとしてのグルーヴを強く感じた のですが。
西山:ポップ/ロックの定義が難しいけど、僕的には今だんだんと「ポップがやりたいな」という気分になっていて。今回のシングルはその気持ちの表れという か、「ポップの中にガッチリとしたロックをどこまで注入できるか」、そういうのが今回割と成功したなと。
●前作と今作で意識して変えた部分があるとすれば、どのへんですか?
西山:『バラードコレクション』が割と放出というか、あえて散らかす方向だったから『Untitiled』は詰め込みたいなというのがすごくありました。 今後はその2つをうまくブレンドさせながらやっていくんだろうけど、今回は「3、4分にどれだけ詰め込めるか」と。でも最後の「さえない男たち」で結局ド チャッとなっちゃったんですけど(笑)。
●でも「Untitled」もそれほど音を重ねたりはしてないですよね。
西山:ストリングスとかあったらいいなとは思うんですが、やっぱり借りているような音がするんですよね。必然的に3人で出している音だけで満足させなけれ ばならないのは大変なんですけど、ちょっとしたきっかけで「出来た!」っていうのがすごくおもしろくて。あと、タイプ的にそういうアレンジを考えるのが面 倒くさいっていうのもある(笑)。
鈴木:音を重ねることを考えてはいたんですが、そうすると逆にこじんまりとしちゃって。バンド感やダイナミックさが損なわれてしまう感じがしたんです。
●そういう意味では、ライブは「3人でどれだけ持っていけるか」というのが一番表れる場所だと思うんですが、最近のライブは3人の音がいい意味でまとまっ てきていますよね。
西山:少し前に自分たちのライブのVTRを見て愕然としちゃって。雑さが目立って、歌が全然届いてこないんですよ。その時に、バンドの持つダイナミズムを 活かしつつも、やっぱりちゃんと歌を聴かせる方向でやりたいなと改めて痛感したんです。
鈴木:ライブハウスではその場の雰囲気ってあるからいいかもしれないけど、後で客観的に観たらおもしろくなかった。その場で観ても後から観てもおもしろい ライブをやりたいんですよね。
西山:でも、それにはある程度のクオリティーがバンドにないとキツい。だから今は、3人でどれだけのことが出来るか試行錯誤しながらやっています。
●確かに初恋の嵐の魅力の1つとして、西山さんの声っていうのは絶対にありますよね。それをライブで活かすっていうのは、個人的にすごくいいと思います。
西山:僕の声、最高なんですよ(笑)。
●ハハハ(笑)
隅倉:いや〜、最高だよ。
西山:気持ち悪りぃ〜(笑)。
隅倉:俺達、勘違いバンドだから(笑)。
西山:自分ではなんとも言い難いんですが、やっぱり歌とメロディーがないと嫌なんですよね。自分の声の質を考えたときに、一番有効な手段でやるのが良いだ ろうし。出来ないことへの憧れはあるけど、最近開き直りがちというか。
●「自分はこれでいいな」っていう気持ちが強くなってきているんですか?
西山:そうなんですね。最近は、ライブハウスとかでやたら浪々と歌う感じがちょっと気持ちよくて。まあ、お客さんにどう思われているのかは微妙ですけど (笑)。
●初恋の嵐ではこういう音を出したいというイメージはありますか?
西山:言葉にするのは難しいんですが、「この感じのままで大衆的なポップスになり得るのか?」という挑戦のようなことは常々思っています。それが一番おも しろい。
隅倉:僕は自然な感じで変に媚びずに、でも外側に向かってやっていきたい。アッパーもダウナーもあって、あらゆる感情が混ざり合っている感じで。
●その時々でありのままの感情を出していきたいと。
隅倉:毎朝の違う感情や、ちょっとしたことでモチベーションが上がったりすることに対して、そのまま自然にやっていきたいですね。
鈴木:ただ正直でありたいんです。酒を飲んでむくんでるんだったら、そのむくんでる感じをそのまま出したい。
西山:みんなそういう意識があると思います。3人がちゃんと同じ方向を向いていれるように頑張ろうと。だから、実は練習嫌いなんですけど、今はかなり練習 もやってます(笑)。
●最近はライブもたくさんされていますよね。
西山:そう。前は「こんなにやってどうなるんだよ」という気持ちもあったんですが、ちゃんとやれば無駄なことはないんだから、これからはまじめにやってい こうと(笑)。
隅倉:嘘つかないでやっていく分、努力は惜しまないつもりです。
西山:・・・とか言いながらスミ君(隅倉)、今日2時間練習に遅刻してきましたからね〜。全然説得力がない(笑)。
隅倉:いや、まあそういうのも全部ひっくるめて自然にね。
西山:まとめるなよ!
●(笑)えー、では皆さんが最近のアーティストで良いと思ったものを教えて下さい。
西山:Trainっていうのがメチャメチャ良かったですね。アメリカってたまに朴訥な人達がヒットしちゃうじゃないですか、Hootie and The Bloefishとか(笑)。ロック幻想とポップスの狭間にいる感じがすごく好きなんですよ。
鈴木:Nick Cave&The Bad Seeds。暗くて絶望的なんだけど、最近はよく聴いてます。
隅倉:少し前にモーサム(MO’SOME TONEBENDER)のライブ見たんですけど、すごく良かった。
鈴木:うん、楽しかった。ここの2人(鈴木・隅倉)は楽しんだんですが・・・。
西山:違う!俺は酩酊してたんだ!!
●モーサムはライブ良いですもんね。
鈴木:すごい楽しい。
西山:ボーカルの方の声もいいし。
隅倉:あと、イケメンだからね(笑)。普通にかっこいい。
西山:それはでかい(笑)。
●最後に、これから初恋の嵐でこういうふうにやっていければっていうのがあれば教えてください。
西山:ミュージックステーションに出たい。まぁ、これは体制って意味で言ってるんですけど(笑)。自分たちのやっていることをそこまで頑なに守っているわ けではないんですけど、ただそこまで行かないとあとはどこに行こうが一緒って感じしかしないから。
●それはポピュラリティーの象徴ってことで?
西山:そうです。王道に向かいたい気持ちが日増しに強くなっています。
鈴木:王道って言われるものがやっぱり好きだし。吐き出す歌には自然に自分たちの好きなものが出るから、それは王道になり得るものだと思います。
西山:確かに、スカしたシーンに憧れる自分もいるんですよ。根がサブカルだし(笑)。でも自分とバンドのキャラを考えた上で、もしかしたら「ポピュラリ ティーのある方が向いてるいんじゃないかなー」って思っているうちに拍車がかかっちゃって。それでミュージックステーション(笑)。最近どのインタビュー でも「タモリ、タモリ」言ってるもんね(笑)。これで「タモリ倶楽部」に出ちゃったらすごいよね(笑)。
●結局そっち(笑)。サブカルの象徴のような番組に。
西山:そうそう(笑)、空耳アワーに使われちゃったりして。
隅倉:意味ねーよ!!(笑)

(インタビュー&テキスト/井上ダイスケ)

*原文ママ掲載


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